恵泉女学園の新しい礼拝堂のプロポーザル応募案です。
創立100周年を迎えつつある学園の記念事業の一環として、恵泉女学園の建学の精神をあらわし、今後50年先の教育への希求を表現した礼拝堂が求められました。老朽化したフェロシップホールを建て替え、中高生1200名を収容し毎朝の礼拝での利用の他、学園内の活動だけでなく地域にも開かれた多目的ホールとする計画です。
私たちは既存の校舎や住宅街との調和を図りながら、「園芸」を教育の柱とする学園ならではの礼拝堂を考えました。礼拝堂は学園と街に面し、地域の人々や同窓生を迎え入れるもてなしの顔をもつことになります。学園側は中庭を三方で囲む4階建ての校舎と同じ高さで緑のファサードをつくり、学園の中心性と象徴性を高め、街側は建物の大きさを抑え、ひな壇部に植栽のテラスを設けて低層の住宅街に向けた庭を提供しています。どちらの緑も、生徒が維持管理することで隣人への思いやりと自然の恵みを学びます。折り重なるカテナリー曲線の天井はステージの必要高さやホールとしての気積、音響効果から導き出され、交差する屋根は学園と街をつなぎ来訪者に礼拝堂のあり方をあらわしています。
ホールは客席部分が掘り込まれた平土間で、礼拝や講演など東側をステージとして使う場合と、演劇や学園祭などで中庭側のホワイエをステージとして使う場合、クラブ活動の発表でホール中央をアリーナステージ形式で使うなど、イベントに応じた多目的な使い方ができるホールになっています。
毎朝の礼拝では、前面に広がる緑と光溢れる空間の中で、生徒は自然の恩恵を感じながら学園での生活に思いを馳せます。周辺環境と柔らかく調和し、生徒が緑で建物を彩ることで、これまでとこれからの恵泉女学園をあらわす礼拝堂となることを目指しました。
敷地:東京都世田谷区/用途:礼拝堂/敷地面積:17977.25m2/建築面積:1600m2/延床面積:1600m2/構造・規模:鉄骨造 2階建て